比率

ここひと月くらい、読んでる小説・漫画はやたらと流血率が高い。
なんせ戯言シリーズ奈津川家サーガにパイドパイパー。どれもこれも歯は飛ぶ骨は折れる指は(以下自粛)
私の本棚中でも断トツの濃厚出血大サービス(意味違う)シリーズ三連荘。どうした私。やっぱりちょっと荒んでるぞ。
全作品に共通するのは突き抜ける疾走感と、それが痛いのかどうか見当も着かないくらいの圧倒的な暴力。殆ど人外魔境の世界。若しくは少年ジャンプの法則(倒しても倒しても強い敵が湧いて出る。で、主人公もつられてバージョンアップ、みたいな)。けれど不思議とドライなのであっさり読める。多分、怪我してる当人達が体の痛みにこだわらないせい。も少し気にしろよ、と突っ込みたい。いーちゃんも四郎もナイ君も、普通の人間だったら何回死ねるかな。多分それぞれ片手じゃ利かない。

少し前に友人と「もし、自分らが新聞に載るような真似をしたら、間違いなく本棚の中身を問題視されるよな」という阿呆な話をした。勿論善良な小市民はそんなことしませんが、時々現実の事件の報道で「漫画や映画の影響が…」なんて言われると、無害なオタクとしては皮肉の一つも言いたくなるもんです。ええ、睡眠不足で荒んでるせいもあってムカつき倍増中ですとも。

猟奇モノ読んでやっちゃうやつは読まなくたってやるでしょ。多重人格探偵読んで人殺したくなるってんだったら、私の知り合いは、私含めてかなりの割合で殺人鬼だらけになるぞ。勿論当然いないけど。
問題なのは過激な暴力描写じゃない。それが問題なら作った連中が一番おかしいってことになる。
そうじゃなくて現実認識に何か問題を抱えた人の目の前に、不幸にもそれがあったってだけだろ。漫画読んで人殺すなんて、太陽が眩しかったから人を殺したってのと大差ない。それは無意味で不条理な動機だ。そしてそんなこともわからずに、考えもせずに、条件ですらなく脊髄反射で「有害」のレッテルを貼る連中。あんたらの方が、よっぽど空想と現実の区別ついてないよ。